くちばし

(元)被虐待児の私は発達障害の息子を育て上げられるのか。療育のこと、日々のこと。おすすめのグッズの紹介も。

ママのイライラ言葉言い換え辞典を読んだ/自分の気持ちは言葉にしていいんだよね、ただし思いやりをプラスして

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今週は本当に酷かった。

学校で食事のマナーを習ってきた息子。

学校だけじゃない、お家でも食べたら食器をさげ…なければならないと頭にインプットされたみたい。マナーを覚えてくれたことも、それをきちんとやらなければって思ってくれるところも息子のいいところなんだけど、問題は息子が少食で完食できる日がすくないってこと。

 

思わず絶句した

その日息子はふりかけをかけたご飯だけに手をつけていた。おかずのハンバーグやサラダには全然口をつけていない。食事に関する療育はいろいろやっている最中で、それはまた書くけれど、その日も時間がきたらおしまいにして私が食器を片付ける予定だった。

そのとき私は息子が学校で「マナー」を習ったことも、それが息子の頭にあることも知らなかった。

すくっと手付かずのハンバーグがのったお皿を手にして立ち上がった息子がシンクのほうに向かったこともそんなに気にしてなかった。

ソースはかけてあるけど、たまに「もう少しかけたい」と冷蔵庫にむかうことはよくある。私もそれでお肉が少しでも食べれるならと容認している部分。

 

が、この日息子は冷蔵庫をあけなかった。

まるまるハンバーグと付け合わせのサラダが乗ったお皿を、なんの躊躇もなくシンクへとつっこんだ。そして笑顔で言った。

「ママ、今日学校でマナー習った。食べたら自分で片付けするんだよね」

 

こういうことはよくある

息子に発達障害があることを打ち明けると、たいていの人は驚く。もちろんお世辞というか、そう返すしかないんだろうけど、私もたまに「どこが悪いんだ?」って思ったりする。

 

でも、これ。こういうとき。

「こういうの!」って思う。

前も食事に関してはこんなことが。

とにかく毎日、息子は基本ふりかけご飯しか食べない。お肉や魚を口に入れられたとしても、噛んで噛んで、カスみたいになったのを飲み込めないと吐き出す。このことでは本当にいろんなことがあったけど、とにかく食べてもらうためにこっちも毎日努力をしてきた、つもり。

 

でもある日、私がご飯を出すと、息子が一言。

「うわっ、不味そう」

なんだか、ぷつんと糸が切れてしまって、いやそれでも母親なんだからめげてはだめだろうと思うけど、本当に無理になってしまった。

「そんなにママのご飯が嫌なら、食べなきゃいい」

ふつうならここで、相手を怒らせたなと察することができるだろう。そのあとに言いすぎたと謝るか、反抗して言い返すかの違いがあっても。

でも息子は、そういう繋がりを無視して、「じゃあコンビニのおにぎりにする!」と言った。満面の笑みを浮かべて。

 

夫が仲介に入って私に謝るように促すと、私が怒っていることは表情や態度から読み取れたようだった。それから、私に嫌われたくないという気持ちももっていてくれたようだった。

しかし息子が言ったのは、

「ママ。ごめんなさい!これからはママのまずいご飯頑張って食べるから!まずくても食べるから!」

 

ああ、こういうの。って思う。

まだ、私への反抗心を持って、シンクに投げ入れたり「まずい」って言ってくれるなら、こっちも怒れる。でも、なにこれ。伝わるかな。なんだろう、この虚しさ。気持ちが伝わらない。かみあわない。肝心なところでずれていくかんじ。

私は元来察してちゃんの気があるけど、でもこれは察してちゃんなのか?それなりに時間をかけて作った夕飯を、シンクに投げ込まれたら悲しいということは、言わなければわからないことなのか。

 

悲しいって言っていいんだよ

そんなことをデイサービスの先生に話した。そうしたら、先生が言ったのは「そのあとどうされましたか?」

私はただ絶句するしかなかったって言って、でも思い出したらなんだか悲しくなって目が潤む。すると先生がまた言った。

「その姿を見せてあげれば良かったんですよ」

 

息子はそういうことにたいして、見通しがたちにくい。これを言ったら相手がどう思うだろうか想像しにくい。でも決して優しさがないわけでもない。

私も私で、親が子どもに涙を見せるなんて、いい大人がはしたないと思っていた。どこか、自分の不安定さを子どもに押し付けようとしている行為に思えて、何を言われても強い親でいなければと構えているところがあった。

とくに息子には、簡潔に、わかりやすく怒るようにという親に対する指導もあって、私もなるべく感情的にならずに悪いことをしたら悪いと説明しなければと思っていた。もちろん、笑いながらだと混乱するから、怒った顔をして「やめなさい!」

でも私の表情に驚いて、「ママが僕を嫌ってる!」のパニックがはじまる。抱き寄せて、嫌いじゃない、こうこうするのはいけないことと淡々と告げる。

冷静になれないときは、少し外にでて…息をついて息子のところに戻る。だってしかたない。これが、息子の難しいところなのだ。悪気がない。知らないだけだ。説明していくしかない。怒っても仕方ない。

 

でもたまに、おさえていた感情が爆発してしまう。ずっと我慢していたのが、ちょっとした言葉で風船を針でつついたみたいに大きな音をたてて飛び散ってしまう。そのたびに、悪い母親だと自己嫌悪。涙を見せる母親よりさらに醜態をさらすわけだけど、次こそはと思いつつも破裂を繰り返してしまう。

 

だから、先生の「悲しい気持ちをそのまま見せていい」には驚いた。

先生は続けた。

 

息子さんはこれを言ったらどうなるか、ふつうの人といったら変だけど、まあ他の人より見通しをたてて発言するのが苦手だよね。だからこそお母さんが見せてあげるといいんだよ。こういうことを言うと、どんな気持ちになるか。説明してあげるといい。説明されると、息子さんは頭がいいから理解してくれる。それにまだまだお母さんが大好きで、褒められたくて仕方ないから、きっともうそういうことはお母さんを傷つけるんだって覚えてしなくなるよ。それにお母さんも、自分の気持ちを外に出すことは大切。そうしないとつぶれてしまうから。言っていいんだよ。そんなことされたら悲しいよって。

 

それを聞いたら、なんだかほっとした。

つまり、風船が破裂するまえに空気抜きをすればいいってことだ。へにゃへにゃの風船に針を刺しても破裂しない。そんなことをやめてとそこで言えば、真面目で本来は優しい息子はもう針を刺してこないのだ。どうしてそんな単純なこと、気づかなかったんだろう。冷静にならなきゃと思って自分の感情までおさえようと思っていた。でも、感情を見せてもいいのだ。言っていい。悲しい。悲しいことばかりされるとつらい。言えば良かったのだ。

 

ママのイライラ言葉言い換え辞典を読む

で、図書館でこんな本を借りてたんだけど、やっと手にとって読んだ。なんでそこまでしないといけないんだろう、いつまでこんなこと続けていかなければならないんだろうって、なかなか読み始めることができなかった本。

 

でも本当に良い本だった。

 

見開きの左のページにイライラ言葉が1つ載っている。たとえば、「うるさい!」のページをめくると、見開きの右に言い換え言葉(ちょっと聞いてくれる?)とちょっとしたアドバイスがあって、読み進めてると何かこれ単語帳みたいだなって思った。

 

「何度言ったらわかるの!」は、「3回言ったよ。次はできるかな?」

「人の話を全然聞かないんだから!」は、「今から大事なことを言うからね」

 

うん、なんかちょっと笑っちゃうよね。ええ…そんなこといちいち?ってさ。

 

で、結局、私はこういうイライラ言葉を他人に言えるのかってことだった。

言えるとしたら怒ってばかりの超やばい人だし、いま他の人と話すときはちゃんと「これをいったら相手はどう思うかな」って考えをもとに発言できている。じゃあどうして他の人には思いやりをもって話せるのに、子どもには思いやりを忘れてしまうのか。言っていいよ。でも思いやりどこいった?まず親が思いやりをもって話すことができてないじゃない?

 

でもそれをすごく優しく教えてくれるんだよね。大変だよねって、諭してくれるような?だから、すんなり文が受け入れられた。

 

親も勉強して成長していい

なんていうかさ、私、親ってちゃんとしていなきゃって思ってたんだよね。子どもの最終形態が親、みたいな。指導者というか、最終到着点というか。親になったからには、きちんとしなきゃ!って。

でもさ、親も子どもみたいに勉強していいんだって思った。子どもが産まれたら「はい、親です」じゃなくてさ、親になってからも親らしくなるために勉強していいんだよね。

久々に単語帳めくってるみたいな感覚になって、そう思った。

つまりこの言い替え方、覚えればいいんだ。

困ってるときは、教科書を確認したっていい。教科書には書いてある。ひとりで我慢しなくていい。気持ちを伝えていい。ただ、他の人にあげてる思いやりをひとさじ。

 

最後にイライラ言葉と言い換え言葉が一覧になってる表があるから、ここだけうつしをとってもっておいてもいいかなって思ったし、購入してもいいかなって思った。

 

すごく楽になった

さっそく、息子が私の聞いている曲に「きもい曲だなー」って言ってきたときに伝えてみた。

我慢せずに、またそんなこと言ってっと流さずに。

それ、私悲しい。私はこの曲好きだから、そんなこと言われたら嫌だよ。嫌なことしたら謝ること。でもあなたが嫌なことをされたら、嫌っていえばいいんだよ。人を傷つける言葉を言うんじゃなくて、自分がどうしたいのか言えばいいんだよ。

 

息子は傷つくことを言ってごめんと言った。それから、その曲のひとつ前に私が聞いていた曲がすごく好きだったから、もう一度聞きたかったと教えてくれた。

なんだ。知らなかった。それいい曲だよね。ママも好きだよ。

 

こんなちょっとしたことに長いこと躓いていたんだな。息子も爆発してたんだ。我慢して、本当に言いたいことが何故か言えなくて、ひどい言葉でわかってほしいって泣いてたんだ。

 

会話ができた。悲しいままで終わらなかった。

 

子どもに伝わる!  子どもが変わる!   ママのイライラ言葉言い換え辞典

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